リスクマネー・チェンジ





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良書ではあるが

欧米の機関投資家や企業の動向、コア世代の人口推移分析からリスクマネーのフローを分析し予測した野心作。投資家ならば読んでみて損はない良書ではあるが・・・

本書が出版されて1年半、予言されていたデレバレッジによるリスクマネーの減少は発生せず、株式市場は復調した。後出しじゃんけんのようで心苦しいが、残念ながらハズレ、である。

尤も、イールドカーブのフラット化は進んでおり、その意味では機関投資家の行動には変調が見られるのかもしれない。本書の問題点は、増大する個人によるリスクマネーの供給という視点を欠いている点にある。例をあげると

・米国では確定拠出型年金加入者が確定給付型加入者を1993年に上回り、老後に備えたミューチュアルファンドや変額年金の残高も90年代以降波はあるが増大している。機関投資家のシェアは減少し続けている

・本書が取り上げる成長セクターへのリスクマネー供給問題だが、減少どころか過剰投資になっている。日本の新興市場におけるPERを見よ。ボラタイルな投資姿勢を好む個人のリスクマネー流入がその原因。

債券、株式、為替市場に共通して発生しているのは、デレバレッジではなく、過剰流動性の発生とボラタイルの減少(新興市場では増大)である。

個人主導のリスクマネーという視点さえ欠いていなければ予測は外れることはなかったし、掛け値なしの良書となっていただろう。次回作に期待する。
いかにして世界経済の持続的な成長を達成していくか

20世紀末の10年と21世紀初めの10年の国際金融のマクロ動向を、国家単位を中心とするのではなく、ミクロの経済主体のバランスシートに主眼を置いて考察を展開する意欲作。欧米の金融の世界では、それまでの銀行危機の経験やBIS規制を契機に、証券化を通じて、信用リスクは、銀行セクターから保険や年金基金などの機関投資家へ移っていった。しかし、彼らのバランスシートは、世界経済の大きな趨勢の中で次第に悪化してきている。銀行への取り付け騒ぎといった形でのパニックは生じないが、彼らが積極的にリターンを求めてリスクをとっていく行動をとらないことによって、長期的には世界経済の成長の足かせになってしまう。本書を大雑把にまとめるとそうなる。明示的にそうは書かれていないが、金融の側面から(それもバランスシートといったミクロ金融の側面から)経済成長の問題を考えているのが面白い。また、人工変動への着目や大恐慌時との比較の視点も興味深い。経済成長の研究では、物的資本・人的資本の量的蓄積(新古典派成長理論)や、技術革新(内生的成長理論)の要素が強調されてきたが、リスク・テイキングな投資機会を求める行動やインフレ率の変化など、信用や貨幣の機能が、マクロの経済成長に与える役割というのは、理論的にも実証的にもあまりよく分かっていないものと思われる。実務家も研究者も学ぶところが多い。
すばらしいの一言!

お金の流れについての話はこれまでいくつかの本でなれてきたが、だいたいのケースが、数字をだらだらと列挙しただけ、もしくは、このままではアメリカやばい、というおのであった。しかし、この本には、ストーリーがある!そして、なにしろ、歴史的な観点からの考察がある!素人めには、(著者の一人は機関投資家のようだが)機関投資家にとっては極めて有用な本だと思うのだが、如何なものだろうか。唯一の疑問点は、たしか、ITバブルというリスクに対してゆるゆるのときには、いろいろな投資信託会社で、個別企業の発掘に血道を上げていたような記憶があるが、リスク回避的傾向が強まる後、個別企業発掘能力が重要になるという見方はどうなのだろうか。素人だからよくわからない。でも、筆者の高いクリエイティビティが感じられる一冊です。
資産運用の「常識」が覆されるような指摘が満載!

21世紀当初の投資環境に於いて、世界的に「デレバレッジ」が進展するという著者の主張は、本書中、様々な角度から繰り返し縦横無尽に論じられており、思わず引き込まれてしまう説得力を持っている。本書は、資産運用の「プロ」向けに書かれた挑戦状的な本であるが、金融業界に就職を目指している若者向けにも、プロのストラテジストがどのように投資環境を分析して投資戦略を立案するのか垣間見ることが出来て非常に有益であろう。
特に、第3章で、主要国の人口動態の変化が金融市場に与える影響を分析している箇所は、類書に例がなく、この分野に関心を持つものにとって必読の文献であると言える。
同じ著者の「金利史観」(ISコム社)もあわせて読めば、一層説得力が増すと思う。



東洋経済新報社
国債と金利をめぐる300年史~英国・米国・日本の国債管理政策
ハートで感じる長期投資の始め方





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